行列

ぼくは並ばない
たとえどんなに美味しいものでも
たとえどんなに面白い遊びでも
たった10分の快楽のために
2時間も並ぶなんて
とてもできない
個人の尊厳のために


ぼくは行列にくわわらない
たとえ腹が減っていても
高楊枝をくわえる
ぼくは待たない
烏合の衆の仲間に入り
自分を見失いたくない
それよりやることばかりで
時間のほうがない


アフリカ象の話にもある
みんなが走るから大群となって走る
一番どん尻の象に聴いた
どうして走っているの?
前の象に聴いてくれ
その前のその前の象も
おんなじ答えだ
みんな象にように走る
何処へ行くのかも知らない
行列はそうした
踊らされている群衆の
めしいの観念
なんとなく
なんとなくなのだ


今日は昨日の明日

年付変更線を越えたところで
今日は昨日の続き
何も変わったこともなく
明けても明けなくてもめでたくもない
黙っていても明日き来るし
特に問題なし

上司が言うのを聴いて
正月もなにもない勤務の人たちは
きっとみんなそう思っているのだと
笑う


どうということなく
一日が限りなく繰り返されてゆく
そこはタンタロスの刑罰の地
つまらない
面白くもなんともない
あわれそうした人間の
なんと変化のない生活と仕事!
今日は昨日の明日だなんて
連綿と続く判を押したような
どこを切っても金太郎飴のような
そんな単純な日々ではなかった
日々これ新しい
気付くことから
見えてくるものがある
いまのいまも
二度と来ない
そう思えばこそ

あるいは

あるいはと
疑う
類推する
ぼくの見えない顔と
君は言う
反対側の人間は
狂気を知って
それを隠す
君だけが一人芝居の
道化をしている
それに気付いたとき
みんなの視線が
異様に思う君は
異質な存在に突き放す
そういうときが来るか


あるいはと
この安穏な生活が
破壊される悲劇を憶う
君を縛って
鉄格子の檻の中へ
隔離しなければならない
そんな破綻を
できうるなら
なにごともなかったように
このままそっと
君を包んでいたい
一人の人として
両手広げて
迎えるために
いつも立っていたい