いつしか酔って眠ってしまい

いつもだった
ぼくらは酔って寝てしまう
炬燵に足を突っ込み電灯もつけたまま
夜中に目覚めたら
君は口を開けて鼾
炬燵兼用のテーブルには
鍋料理の余りと呑み残しの酒
たった三杯で夜は眠れる
いい睡眠薬だった


眠っている君にいたずら
開いた口を塞ぐ
するとううんと横になり
どんな夢を見ているものか
なにか譫言


腕時計は三時半
また夢の続きを見ようか
君に毛布を掛けてやり
朝の目覚まし忘れず
ぶるると冷える未明の部屋に
酔いも醒めて二度寝のしあわせ


春とおからじ

冬至の一年の底から
ぼくは這いあがってゆく
長い夜からしだいに
明るくなってゆく
冬と寒さが嫌いなぼくは
夏の対角線上にいる
真冬の位置が耐えられない
そうなれば海も遠ざかる
正月が過ぎて
なにか春の囁きが聴こえると
目覚めるものがある
どこかでうららかな日
誤って花が咲き
鳥たちはお喋りになる
気温だけでも上昇すれば
ぼくらは生き返る
二人して初夏に生まれたものらは
夏に回生してゆく


何度目かの蘇りのときを迎え
ぼくらは厳粛な生の
儀式を執り行わなければならない
生まれよ
さらに立てよ



東北のにおい

おや あなた 東北ですかい
と またも業者の人に訊かれた
判りますか?
ええ なんとなく その においが
わたしは山形ですね
そうですか わたしは青森です
なんだか 東北もん同士 どこか仲がいい
奥羽列藩同盟以来
白河以北ひと山三文と悪口を言われてから
吉里吉里国のように東北は独立しようか
朝廷に刃向かった藩のよしみだ
そんなこんなで親しみがある東北
被害者意識で団結しよう
会津藩も現在のフクシマも同じだ
沖縄とも手を結びたい
そういう話は別として
方言で判るか東北のにおい
標準語をしゃべっているつもりで
少しの訛り
津軽弁と秋田は繋がり
八戸南部と岩手は繋がり
山形と青森もどこかで繋がる
ええ 出稼ぎで来てまして と
山形弁も青森弁も同じ
雪深い東北から
東京に出てきて幾歳か
がんばんべ
そうエールを送っているような
親しみある会話だ