君と横浜新年会

横浜はぼくの若いときの
苦い思い出の街だから
あのときのぼくを慰めに来た
いつも一人で
遠くの人を想いつめていた日が
いまも突き刺さる
ぼくはストーカーを演じていた
学業も放擲し
ひたすら
中華街裏の下宿で
机のノートに向かっていた


西口五番街の同伴喫茶で
未成年のくせにバイトして
暗い客席で男女のまぐわいに胸が鳴った
古い城の建物で
騎士の恰好でドアボーイもした
いまはそこはゲーセンで
半世紀経っても建物があった
風俗ばかりの暗い昭和の街が
残されていたことに驚き
ぼくの青春もそっくりそこに
停まった時間の中にあって
いま君とそこを歩く


どこかで呑もうか
ぼくらは居酒屋にしけこみ
そこで19歳の冬の話をした
君は言う
いまもあなたには暗い影がある
それが本当の素顔ねと
横浜で晩くまで呑んで
酔っ払って帰ってもいい
街は変わる
どこかに昭和の遺跡があって
そこに淋しがり屋のかつてのぼくが
潜んでいたりする